経済指標とは、各国の政府や経済関連の中央省庁(日本では財務省、経済産業省、内閣府など)、中央銀行(日本では日本銀行)が発表している「経済に関連する統計」です。経済指標は、経済動向を見るうえでの大切なバロメーターのひとつとなっているため、ファンダメンタルズ分析の中でもとりわけ重要視されています。ただし、たくさんあるのでどれを見ればいいかわからない・・・ そんな方は、まずこの5つをを押さえておきましょう!
重要な経済指標その1
米国雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率)
米国の雇用統計では、主に非農業部門雇用者数と失業率が注目されることが多く、特に非農業部門雇用者数の増減には大きな関心が集まっています。その理由はこの指標が下記の「経済指標が注目されやすくなる3つの条件」を満たしているからです!
毎月発表されている(発表頻度が高い)
統計調査の対象が幅広い
比較的発表時期が早い
これだけの条件を満たしている経済指標は米国非農業部門雇用者数のみとなっています。それゆえに、非農業部門雇用者数はその月の中で発表される他の経済指標と比べ、最大級の注目が集まることが多い指標です!必ず押さえたい指標です。
【米国雇用統計の発表時刻】 毎月第一金曜日(場合によっては第二金曜日)、午後9時30分(米国冬時間期間中は午後10時30分)に発表。 為替相場がもっとも緊張感に包まれる瞬間ですから、要注目です!
重要な経済指標その2
GDP(国内総生産)
GDPはニュースなどでもよく聞く言葉ですね!一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額をGDPと呼びます。GDPはほとんどの国や地域で発表されており、その国の経済規模を示す指標として、最も重宝されている指標のひとつです。
また、GDPは同じ国の同じ時期の数値が複数回発表されることも大きな特徴です。英国、米国、ユーロ圏は各四半期とも、速報値、改定値(速報値発表から約1ヶ月後に発表)、確報値(改定値発表から約1ヶ月後に発表)と3回発表されるのに対して、仏、独は各四半期とも、速報値、確報値(速報値発表から約2週間~4週間後に発表)と2回発表されています。また、日本も一次速報、二次速報(一次速報発表から約1ヶ月後に発表)と2回発表されます。
その中で最も注目されやすいのは、最初に発表される速報値ですが、改定値や確報値でも事前予想と大きく違う結果になれば、それによって為替相場が動くというケースも見られますので、GDPは注意深く見る必要があります。
【GDPの発表時期】四半期(3ヶ月)ごとに発表 ※カナダだけは毎月発表
重要な経済指標その3
小売売上高
小売売上高は、百貨店、スーパーマーケットやコンビニをはじめとする小売業者の売上額をまとめた指標で、各国で発表されています。 多くの国では、経済規模の6割以上を占めているのが消費活動となっているため、消費動向に注目していくことは経済動向を見ていく上では欠かせません。その消費動向を見極めるうえで最も重宝されている指標のひとつが、小売売上高です。
【小売売上高の発表時期】米国・・・毎月中旬
重要な経済指標その4
鉱工業生産
鉱工業生産はコンピューター、電化製品、自動車など工業品の生産高を示した指標。その結果からは、サービス業の景況や個人消費の状況も推測できます。例えば、家電製品の生産高が増えていれば、個人消費が伸びていることが考えられます。また、オフィス機器の生産量が増えれば、企業が好調だ、ということがわかります。
このように経済の状況も推測できるということから、鉱工業生産は非常に注目されている指標のひとつです。先ほど説明した3.「小売売上高」と合わせて数値を見ると、より消費動向を深く分析できます。
【鉱工業生産の発表時期】日本、米国、英国、ドイツ、フランスなどの他に、ユーロ圏で、毎月発表。
重要な経済指標その5
各種景況感指数
景況感指数とは、消費者やアナリストに現在の景気や、今後の景気動向について聞き取り調査やアンケート調査を行って集計し、その結果を指数化した指標です。景況感指数が低ければ景気は悪いと見られており、消費者は消費活動を控えていることが読み取れ、逆に景況感指数が高いと景気が良く、消費意欲も旺盛であることが読み取れます。
各国で発表されている景況感指数のなかでも、特に注目度の高いものを簡単にご紹介!
ZEW景況感指数
ドイツで毎月発表。数値がプラスのときは景気を楽観視しているアナリスト(正確には機関投資家とエコノミスト)のほうが多く、数値がマイナスのときは景気が後退していると見ているアナリストのほうが多いことを意味します。
IFO景況感指数
同じくドイツで毎月発表。1991年を100とした指数で毎月下旬に発表されています。数値が100未満だとと1991年よりも景気が悪いと見られており、逆に100以上だと1991年よりも景気が良いことを意味しています。
米国消費者信頼感指数
米国の民間の調査機関であるカンファレンス・ボードが毎月公表する消費者信頼感指数です。1985年時点を基準値=100とし、数値が100未満だと1985年よりも景気が悪いと見られており、逆に100以上だと1985年よりも景気が良いことを意味しています。
ミシガン大消費者信頼感指数
米国ミシガン大学が毎月公表する消費者信頼感指数です。1966年時点を基準値=100とし、数値が100未満だと1966年よりも景気が悪いと見られており、逆に100以上だと1966年よりも景気が良いことを意味しています。
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さて、これらの経済指標は、どこでチェックすればよいのでしょうか?外為どっとコムのサイト、ツールから簡単にチェックできるので、是非活用してください。
・週間予測カレンダー
世界の主な経済指標発表の週間スケジュールを掲載。予測値と実際の発表値も記載しており、大変便利!
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一か月間で発表される指標をリストで表示。指標の内容解説も充実しています。
・経済指標フラッシュ
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