今回は、生産管理と言われるシステムのポイントについてご案内します。
私は所謂生産管理のコンサルタントではなく、実際にいくつもの生産現場に使えるシステムを導入した経験から以下の纏めを行いました。
確かに特に日本の製造業は多種多様で一言で説明するのは困難です。
ただ、実際の現場を見ていると大きくいくつかの生産形態があります。
これらは、計画主導型と言われるもので、トヨタのような改善型とは違います。
主な生産形態
10 MTS 見込み生産 一般的な在庫生産、在庫引当。
20 MTO 受注生産 受注に応じた生産、完成品は在庫にならない。
30 MTL ロット生産 部品などのまとまったロット生産。
40 ATO 半受注生産 最終組立てを受注トリガーにより行う。
50 ATO 半受注生産 最終組立てを受注紐付けより行う。
60 計画品目生産 試作などの引当や消費なしの生産。
70 組立計画生産 試作から量産手前の生産。
REM 繰返し生産 計画方針の応用版、基本はロット生産。
PS プロジェクト 船舶・建設・ITプロジェクト等生の産形態。
日本での応用事例では、10, 20, 30, 40, 50が殆どで、建設や重機でPSがある程度。
日本の主な製造業では、事業部と工場のマトリクス毎にプラント・計画方針を決 める。更に品目毎に詳細を決めるので、工場単独でなくPLM(プロダクツ・ライフサイクル・マネジメント)との連携が必須、品目マスターで設定する。
計画方針に限らず、重要な設定は各トランザクションだけでなく、品目マスターの 販売ビュー・生産管理ビュー・購買ビュー・会計ビューで行う。
基準となるリードタイム・引当原資と引当方法・計画方針・在庫評価・総勘定元帳への転
方法(自動仕分け)等がそれにあたり、PLMが全てを管理する。
リードタイムの考え方:部品の投入から完成品の出荷までと考えがちだがそれは違って、生産形態で異なる。完全受注生産は一般的な考えで良いが、半受注生産では最終組立ての時間となる在庫生産では在庫があることが前提になるので、品目マスターのリードタイムの設定は色んなセクションが関係し、戦略も加味して決める必要がある。
引当とATP、納期回答の考え方。何も設定しないと品目マスターの基準リードタイムが提案納期になるが、生産形態や在庫拠点をどこまで定義して引当原資や優先度を決める必要がある。
通常は、受注時の納期回答は一つのプラントを対象にするが、在庫拠点が工場・物流センター等複数あり、海外に点在することを前提にすると、ロジックより引当原資の一元管理が重要。
しかも、納期回答を必要とする伝票が引合い・見積・受注・出荷等複数あるのでデーターの整備・維持が非常に重要である。
以上、実行系の仕組みが整った後に計画系の仕組みを作成する。
サプライチェーン計画 : SCM/SCPとの概念はいたるところで語られるが、実際は輸送計画・DRP・MRP・実際の製造計画等の総称である。
製造業であれば、製造・販売が合意した生産計画に基づき、DRP・MRP・LOが展開される。
アカウントプラン:営業計画とも言えるが、その見込み客・顧客毎に顧客ライフサイクル・プロジェクトライフサイクル・製品ライフサイクル・サービスを元に中長期の計画を立てることである。
アカウントチームは営業指導となるが、見積もりや提案・クロージングは会社の総合力が問われるためアカウントによってチームの性格は異なる。
会計年度の開始時期にアカウントプランニングセッションを開催し、必要に応じてモニターして行く。
会社によって異なるが、アカウントチームやプランを持つ見込み客や顧客は全体の20%で売上の80%が目安で、残りは営業と言うよりカウタマーサポートの担当と位置づけるのが一般的である。
調達計画:利益に最もインパクトがある調達についての計画で、手配はMRPで作成するがリードタイム・品質・コストを考えて、所要量提示やEDIの導入もここに入る。
人事計画:以上の計画系・実行系・それに伴うマネジメント系の人事計画を指す。研究開発等の技術系も含まれる。
情報系:計画・実績の管理や外部の調査機関のデーターなどを使用して独自の管理会計システムが必要である。
営業主導か生産主導か技術主導かはそれぞれの企業体やグループによって異なるが、戦略をベースにそれらの戦術を決めるのは経営者の役目でシステムではない。
計画を策定したら、実行系のデーターを元にしたパフォーマンスの評価が必要であるが、これはチーム個人のロールや責任範囲で異なるはずである。
後は、評価指標は個人やチームが自分たちで結果をコントルールできる指標と、マーケットシェアの様に外部でも取れる指標があるし、顧客満足度の様に数字で測りにくいものもある。
売上・利益・シェア・顧客満足度・会社の業績などいろいろ評価指標はあるが、上位管理者や経営者は、評価される側にその説明責任がある。
以上のような内容は、製造業の中で常に進化をしてゆくもので「こうすれば上手くいく」と言うものではありません。
重要なのは現場から発送する事と工場だけが生産拠点ではないという事です。
製造・販売・物流と言いますが、統合するのもノウハウかもしれません。
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