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SAP Solution for Chemical Industry

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今回は、SAPグローバルの化学を含む素材産業向けのイベントにおける先進ユーザーの基調講演からのご紹介です。


私もSAPに在籍中は、プロセスセクター(石油・化学・製薬)業界を担当していました。


日本でもそうでしたが、同じ製造業でも組み立てに比べ、プロセス系のお客様はSAP Solutionの活用が非常に進んでいて、業務カバー率もほぼ100%でした。


以下に、ドイツの化学メーカーであるEvonikの事例をご紹介します。


私の経験から、SAP Solutionの導入が上手くいくかどうかは、「シンプル」に出来るかどうかにかかっています。


日本企業の場合は、日本の特殊性や複雑性を自慢するような傾向もあり、見習いたいものです。


いくつか大事なポイントを挙げるとすると以下の点です。


1, 組織設定における事業領域(事業部)とプラント(工場)の関係(マトリックス)を上手く表現する。


2, サプライチェーンは化学なら化学に留まらず、石油→化学→製薬と業界を跨っている。


3, 特に化学の場合、工場(プラント)は複数の化学メーカーで共用している(例えば四日市工場群)各メーカーの工場は作業場所(生産能力)で定義する。

同じ製造業でも組み立てしか経験のない人は、全てをプラント(工場)で定義してしまい、パイプラインを流れている中間材料を工場間の転送にしてしまいます。


・Evonikのデジタルトランスフォーメーション


Evonikはドイツに本社を置くスペシャリティケミカルの企業です。100ヶ国以上で事業を展開し、2020年度の売上高は約1.6兆円(€12.2 billion)、EBITDAは2500億円近く(€1.9 billion)に上ります。古くからのSAPユーザーであり、2021年の5月にSAP S/4HANAによる新しい基幹業務システムが稼働を始めました。“NexGen ERP with S/4HANA”、あるいは、“Digital Business Core”と標榜されているこのシステムは、44ヶ国に渡って16,000のエンドユーザーが使用するグローバルレベルでの「シングル」システムであり、Evonikのほぼすべてのビジネスをカバーするものとなっています(cf. 売上高の95%をカバー)。では、なぜ同社は“NexGen ERP with S/4HANA”を必要としたのでしょうか。


Evonikのデジタル変革ストーリー(イベント講演資料より)





今回のイベントでは、同社のThomas Meinel氏が登壇し、以下にあげる3つの“動機(Motivation)”について説明しました。なお、同氏は間接材調達部門の責任者ですが、今回の基幹業務システムの刷新に深く関わっています。


デジタライゼーションを実現し、将来の機会にオープンになる

業務プロセスの標準化/整流化に注力し、効率性を追求する

未来志向のテクノロジー、すなわち業務プロセスに組み込まれた分析や機械学習の活用を促進する


「将来の機会」や「未来志向のテクノロジー」という表現からは、機械学習やRPA(Robotic Process Automation)を始めとする、日々進化するテクノロジーからの恩恵を見逃さない、という視点もあると思います。一方で、講演の後半で同氏の所管である調達領域の変革ストーリーでは、デジタル化により組織の役割やプロセスの刷新にもよりよい影響があったことが語られます。すなわち、“Classical Procurement”では、営業やマーケティング、製造部門から“ボトルネック”としてしか見られなかった調達部門が、状況に応じてダイナミックに様々な選択肢を与えうる組織へ変革した事例が語られます(cf. “Dynamic Alternative Sourcing”)。調達先とデジタルに繋がることにより実現できた変革であり、より迅速なプロセスや高い透明性・柔軟性の実現にテクノロジーが寄与していることに言及がありました。業務プロセスや働き方を、より広い視野で見直す「将来の機会」を逃さなかったと言えるでしょう。


その前提ともなると思いますが、今回の取り組みでは、“ベストクラスのビジネスプロセス(Best in class business processes)”の実現が目標として掲げられ、S/4HANAが提供する「業界標準」の活用に言及がありました。また、S/4HANAへの移行の前に、標準機能の活用を見直す(“Back to standard”)ことにも取り組みました。SAPがS/4HANAに順次組み込んでいく機械学習や分析のシナリオは、もちろん標準機能を前提として開発していくものであり、標準機能を活用する方がより迅速に「未来志向のテクノロジー」からの効果創出に貢献することが可能になります。また、分析のシナリオもS/4HANAで可能となったOLTP(Online Transaction Processing: 記録系処理)とOLAP(Online Analytical Processing: 分析系処理)の融合により、モダンなユーザーインターフェースの実現に貢献しています。


なお、グローバルで複数存在していたERPシステムをひとつに統合する取り組みは、今回の取り組みよりも前に行われていました。このシンプルなグローバルシングルシステムにより、買収した多くの事業/企業をより迅速にオペレーションに組み込むことができているようです。

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