今回で、私のSAPでの11年間の振り返りは一段落です。
今回は、外から見たSAPについてご紹介します。
1, SAP Japanの変化
1) 社長の交代
私がSAPを卒業してから、何度か社長が変わりました。
一番記憶に残っているのは、IBMを始め外部からの社長招聘が多い会社でしたが一度 だけ、生え抜きの福田氏が社長のなったことでした。
彼とは同じ組織で一緒に仕事をした仲でしたし、これでSAPも日本と言うマーケット に定着すると期待もしました。
しかし、彼も退任し、富士通と言う日本の会社に移り、IBMから移籍してきた新たな 社長に代わりました。
つまり、元の外人部隊に戻りました。
2) 組織・役割の変化
大きな出来事は、コンサルティングとトレーニングをやめてしまった事です。
単なる収入源の変化とみると、サービスをやめて単なる、パッケージの販売会社に戻 ったと言えるでしょう。
コンサルティングについて言えば、単なる収入源ではなく、ドイツの開発部隊に開発 要求を挙げる役割もありましたし、顧客へのスキルトランスファー、パートナープロジ
クトの保険の役割、パートナーの選定評価等、様々な役割をやめてしまった事になりま す。レーニングは、顧客やパートナーの技術者の品質の向上・維持の役割が大きかった のですが、それも辞めてしまいました。
2, SAP SE(本社)の変化
1) 保守の打ち切り
S/4 HANAへの移行を前提に2025年を持ってECC6.0以前のバージュンの保守打ち切 りを発表しました。現在は2027年に延伸していますが、法制度対応等は残るとして もパッケージベンダーとしての責任放棄と言われても仕方が無いと思います。
パートナーの中にはビジネスチャンスととらえる傾向もありますが、顧客の立場や
視点から外れています。
2) 技術基盤の変化
元々汎用機のR/2からオープン環境のR/3で行業績を拡大したSAPですが、HANAをリ リースしたころから、ビジネスアプリケーションの方向から、GAFAと同じようなプ ラットフォーマーに変わってきています。
色々な変遷はありましたが、1度だけ本社の社長にSAPの方向性について聞いたことが あります。
IBMのようなSIベンダーを目指すのか、ビジネスソリューションーション(アプリケ ーション)ベンダーを目指すのかと尋ねると、「心臓外科医のような存在を目指す」と
との回答でした。
その心臓外科医がプラットフォーマーなのかどうかは、今では確かめようがありませ ん。
3) 企業買収
一時期SAP本社は企業買収に走りました。
Concur/ARIBA/SuccessFactorsなどコアのソルーションと重複するものが多かったと 思います。
それに加えて、APO/CRM/BI等の追加ソリューションもあり、統合の問題もありまし た。
これらを、全て同じプラットフォームで動作させるためのHANAであり、その中瀬動 作するソリューション群の総称がS/4であると言うのが私の見解です。
他にも、変化の要素はありますが、外から見たSAPが、何を目指しているのかが分からないと言うのが正直なところです。
世代交代が上手くいかずに、元の製品を播種できる機能が弱体化して、新しいものに」向かっているようにも見えます。
いずれにしても、明確な目的目標を見失っているのは確かなようです。
Comments