以前にもBPOで触れましたが、日本の地方自治体のシステムについてです。
以下の表の様に、住民記録から税金の収納まで、多くの機能があります。
自治体に限らず、国立大学・病院・特殊法人等様々なシステムがあります。
今回は、私が最初に勤務した会社アイネスと当時者属していたSAP Japanとの共同開発プロジェクトについてです。
プロジェクトの内容は、アイネスが持っていた、Web Lingsと言う自治体向け住民サービスパッケージとSAPが持っていた、会計機能を統合して、会計も含む、自治体向けパッケージを開発する、と言うものでした。
取り組むべき課題は以下でした。
1, Web Lingsは全ての自治体サービスの機能を持っているが、予算管理が出来ない。
2, SAP R/3は自治体業務に対応しておらず、会社としてもノウハウが無い。
話は単純に見えますが、自治体ごとの予算管理を、従来の単式簿記で行うか、複式簿記にするか。自治体ごとの、給与やその他経費情報をいかに取り込むか等の課題は困難でした。
体制は、アイネスからは、常務・自治体向けサービス子会社の社長・自治体向け給与を過去に担当していた部長。SAPからは、企画室長・会計コンサルタント・私と言う陣容でした。
自治体向けサービスの内容と、R/3の会計を両方分かるのは私だけでしたから、双方の理解を深めるのに当初は、ほとんどの時間を費やしました。
Wb Lingsの開発部隊は、所謂仕様書を書いた経験がなく、いきなりソースコードを直そうとしましたし、SAPの会計コンサルタントは、インタフェースを決めないと何もできません。
上層部は、当時の総務大臣だった麻生さんと同じことをしゃべるばかりで、何もすすみませんでした。
きりがないので、一旦プロジェクトは止めて、双方それまでの理解に基づいて、お互いの要求仕様書をまとめて、再スタートとしました。
その後、私は違うセクターのコンサルティングに異動し、企画室長は退職、アイネス側も定年や退職者が出てプロジェクトは、自然消滅でした。
昨今、デジタル庁等と言うものが出来て、自治体業務は、地方自治法と条例に基づくものであるから、自治体ごとの運用ではなく、共通プラットフォームで運用すべきと言うことで、AWSにプラットフォームは決まったと聞きました。
理屈はそうで、学者の論文ならそれで良いと思いますが、私の経験から、自治体業務を同一環境で運用して、民間企業並みの会計機能を持たせるのは、かなり困難です。
私が調査した限りでは、Web Lingsに勝るパッケージは無く、それがベースだと思いますが、そもそも自治体の会計とは?同一プラットフォームで運用したとして費用負担は?セキュリティーや個人情報は?マイナンバーカードなどの次々と追加されて、統合出来ていない機能をどうするか?等課題は山積みですが、誰が主体的に取り組むのでしょう?
個人的には、デジタル何とかではなく、旧自治省を含む、総務省だと思います。
またこの問題は、自分で基幹システムを持つことが難しい、中堅中小企業のプラットフォームにつても、全く同じような問題を抱えています。
次回は、ハイテクセクターについて触れます。
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