今回は、プロジェクト事例に戻ります。
一般的にプロジェクト事例と言うと、成功事例が当たり障りのない形で紹介されることが多いと思います。
成功事例から学ぶことも確かに多いし重要ですが、私は失敗から学ぶことの方が、遥かに多いと思います。
日経コンピューターに、「動かないコンピューター」と言う記事が今でも連載されていますが、それと同じです。
弊社では、今後むしろ失敗した事例を積極的にご紹介してゆきます。
ただし、決して失敗したい訳ではありませんので、宜しくお願い致します。
失敗プロジェクトの原因は以下の様に色々あります。
・リーダーに資質が無い、もしくは不在
・主体となる企業/組織に当事者意識がない
・いつもの通りの丸投げ体質
・運用に関わるステークホルダー(利害関係者)を無視した開発
以下に私が顧問として参加したプロジェクトの概要を紹介します。
皆様も上記に沿って原因を考察してみてください。
私が顧問を務めていた会社にある副社長がいました。実質上の社長です。
全ての権限を持ち、外注費も使い放題です。それを狙う各ベンダーは接待攻勢、毎晩酒浸りです。
接待の見返りで仕事を出していますから、当然接待費を潤沢に持っている大手ベンダーになります。
日本のベンダーはゼネコン方式で、自分たちでは一行のプログラムも書けません。業務知識がありませんから、副社長の言ったそのままを作りました。
それは全く使い物にならない代物でした。
一例を挙げると、調達システムでしたが、部品や加工を発注する時に使う一品一葉のコードがありませんでした。
親会社が苦労してコードを導入して、EDIにも対応できるようにしていたにも関わらず、です。
発注を受ける取引先はたまったものではありません。
同じものが発注都度、違う内容で注文が来るのですから。
私の顧問としての役割は、そのシステムを取引先に広める事でした。
何故こうなのでしょうか?まともなビジネスの話ができない環境です。外資系企業ではありえません。(少しはありますが)
出来たものが調達システムですから、当然サプライヤーの協力なしでは成り立ちません。しかし、副社長は超大手企業の出身です。サプライヤーはごみくらいにしか思っていません。態度も信じられないほど大柄です。
何故でしょうか?会社の実力を自分のものだと勘違いしていると私は思います。天下の大企業ですから接待も、殿様商売もやり放題です。そんな人間にしてしまったのは、他ならぬベンダー達です。副社長も会社を退職すれば気づくと思います。自分の力などなく全て会社の看板だったことに。
大手の会社の購買担当者が担当していたサプライヤーに天下ろうとしますが、私は一度たりとも上手くいった話を聞いたことがありません。当たり前ですよね、人に頭を下げたことがない人間、しかも会社の名前で散々無理を言い、接待を強要した人を雇う会社はありません。
このような人は企業に留まらず、最近では東京オリンピック関係者にも見られます。
あれも一種のプロジェクトですから、資質のない人間が関わるべきではありません。
これは、日本の会社の管理職が大手にも関わらず退職後行くところがない理由の一つだと思います。会社の名前と自分の力の勘違い、日本はどうなるのでしょう?
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